<生物多様性とは>
"生物多様性"とは、「いろんな生き物がいること」です。しかし、"生物多様性"という言葉は、日本ではなかなか浸透しておらず、また、理解が困難な言葉と思われがちです。 その背景には、"生物多様性"という言葉が用いられる場面がどんどん拡大し、現在では非常に多義的に用いられていることがあるでしょう。また、"生物多様性"という字面の難しさも、生物多様性に対する理解が深まらない一因かもしれません。
<多義的に用いられる"生物多様性">
従来、生物多様性とは、自然環境中の生き物の多様性に関して使われてきました。しかし、近年では、"都市の緑化における生物多様性" や、"生物多様性に配慮した屋上緑化"といったように、従来では使われなかった状況で、この言葉が用いられはじめています。また、現在では、"生物多様性に配慮した照明"、あるいは"生物多様性に配慮した水路"といったように用いられることもあるようです。これらの場合、生物多様性という言葉は、"自然環境"あるいは"生態系"、"生物"という言葉と同義であると考えられます。つまり、現在、"生物多様性"という言葉は、"自然"、"生態系"、"生物"などを指し示す言葉として、非常に多義的に用いられているのです。同時に、企業の間には、「生物に配慮した取り組み」=「生物多様性への取り組み」という認識が浸透しつつあり、"生物多様性"の"生物"ばかりに重点がおかれ、"多様性"という観点が忘れ去られつつある気がします。
<"多様性"を意識した取り組みが今後の課題>
企業による自然や生き物に配慮した取り組みは、非常にすばらしいものです。また、1種の生物の保全が積み重なって多様性を生み出すのであるから、「自然や生物に配慮した取り組み」=「生物多様性への取り組み」という認識が間違っているとはいえないでしょう。しかし、"生物多様性"から"多様性"の観点が忘れられることは、正しいことではありません。生物多様性とは、決して一面的なものではなく、生物多様性について考える際には多面的に捉えることが必要だからです。ある種の生物にとってよいことが、他の生物にとってもよいとは限りません。企業には、「多様性」という観点をを意識し、"生物多様性"の維持・向上に努めることが求められています。
ちなみに、生物多様性条約第2条では、生物多様性とは「すべての生物の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む」と定義されています。
