- 2009年8月28日 14:25
- 生物多様性コラム
<生物多様性とは>
"生物多様性"とは、「いろんな生き物がいること」である。しかしながら、"生物多様性"という言葉はなかなか浸透せず、また、理解が困難である。 その背景には、"生物多様性"という言葉が用いられる場面がどんどん拡大し、現在では非常に多義的に用いられていることがある。また、"生物多様性"という字面の難しさも、生物多様性に対する理解が深まらない一因であろう。
<多義的に用いられる"生物多様性">
従来、生物多様性とは、自然環境中の生き物の多様性に関して使われてきた。しかし、近年では、"都市の緑化における生物多様性" や、"生物多様性に配慮した屋上緑化"といったように、従来では使われなかった状況で企業がこの言葉を使いはじめている。また、"生物多様性に配慮した照明"、あるいは"生物多様性に配慮した水路"といったように用いられることもある。これらの場合、生物多様性という言葉は、"自然環境"あるいは"生態系"、"生物"という言葉と同義である。つまり、現在、"生物多様性"という言葉は、"自然"、"生態系"、"生物"などを指し示す言葉として、非常に多義的に用いられているのである。同時に、企業の間には、「生物に配慮した取り組み」=「生物多様性への取り組み」という認識が浸透しつつあり、"生物多様性"の"生物"ばかりに重点がおかれ、"多様性"という観点が忘れ去られつつある。
<"多様性"を意識した取り組みが今後の課題>
企業による自然や生き物に配慮した取り組みは、非常にすばらしいものである。また、1種の生物の保全が積み重なって多様性を生み出すのであるから、「自然や生物に配慮した取り組み」=「生物多様性への取り組み」という認識が間違っているとはいえない。しかし、"生物多様性"から"多様性"の観点が忘れられつつある現状には、疑問を感じざるを得ない。生物多様性とは、決して一面的なものではなく、生物多様性について考える際には多面的に捉えることが必要だからである。ある種の生物にとってよいことが、他の生物にとってもよいとは限らない。企業は、「多様性」という要素を意識し直し、"生物多様性"の維持・向上に努める必要があるのではないだろうか。
ちなみに、生物多様性条約第2条では、生物多様性とは「すべての生物の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む」と定義されている。
EnviX 梅山研一
